譜面通りに弾いてはいけません?!
イタリアのオルガン音楽が好きで、ずっと勉強を続けています。
あるイタリア・オルガンの講習会で、はじめて「トッカータ」という曲種を学んだときのことです。
先生がなんと「譜面通りに弾いてはいけません」ということをおっしゃって、
( ゚Д゚)
と表現したいような気持ちになったのを覚えています。
とはいっても、それは「でたらめに弾いてよい」ということではありません。
バロック時代のイタリアのオルガン音楽でもっとも重要な作曲家フレスコバルディという人が、自分の「トッカータ集」の序文に「どのように弾くべきか」ということを事細かに書いています。
その一つ、特に面白いと思ったのが「一定の拍で演奏すべきではない」という点です。
当時流行していたマドリガーレという歌のスタイルを例にあげて「歌詞の意味によってゆっくり、あるいは速く歌うでしょう? それと同じですよ」という内容のことを書いています。
教会音楽用に作られた「トッカータ」にもそれは当てはまります。
今回は、そのフレスコバルディが作ったオルガン曲集『フィオリ・ムジカーリ(音楽の花束)』の中の一曲、「主日のミサの前のトッカータ」をご紹介します。
聖書の詩編95編というところに「さあ、主に向かって、喜び歌おう」という言葉がありますが、まさにそのような思いで弾く曲だと思います。