イエス・キリスト降誕と羊飼い
クリスマスが目前となってきました。
今回は、イタリア・バロックの器楽作品の大家、アルカンジェロ・コレッリの「クリスマス協奏曲」から「パストラーレ」をご紹介いたします。
この作品は、「コンチェルト・グロッソ(合奏協奏曲)」と呼ばれるジャンルの曲で、独奏楽器群(コンチェルティーノ)とオーケストラ(リピエーノ)とを対比させるスタイルで書かれたものです。
「パストラーレ」というのはクリスマス用器楽曲の一種で、低音の持続音の上に穏やかな旋律が奏でられます。
12/8拍子や6/8拍子で作られることが多く、コレッリの作品は12/8拍子となっています。
このスタイルは、羊飼いの音楽をまねたものと言われています。
実は、クリスマスと羊飼いは深い関係があるのです。
イエス・キリストがベツレヘムという村で降誕した夜、その周辺では羊飼いたちが野宿して羊の番をしていました。
すると、彼らのところに天使が現れ、「恐れるな。私は、すべての民に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの町(ベツレヘムのこと)に、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである」と告げました(ルカによる福音書2章10~11節)。
さらに天使に示された彼らは、生まれたばかりの乳飲み子イエス・キリストを探しに行って見つけます。
この羊飼いという職業の人たちは、当時の社会の最底辺にいた人たちだったと言われています。
そういう人たちに真っ先に救い主降誕の知らせが伝えられたことは、神にとって地位や身分などはまったく関係がなく、すべての人を愛し、救いを与えようとしているのだ、ということを示しています。
天使が語ったように、まさに「すべての民に与えられる大きな喜び」なのです。
今年のクリスマス、すべての人が神の愛を知り、救い主イエス・キリストの降誕を祝うことができるように、お祈りしています。