多くの部分、全体は一つ ~その2
今日は前回に引き続き、ジローラモ・フレスコバルディ(イタリア;1583-1643)の『聖母のミサ』から、「クリステ〔エレイソン〕(キリストよ、あわれみたまえ)」をご紹介します。
この作品は、グレゴリオ聖歌の旋律をもとに作られており、聖歌の旋律やそれに寄り添う旋律が4声部で歌われていきます。
まるで合唱曲のような歌ごころとなめらかさを持った曲で、フレスコバルディの作品の中でも響きの美しさでは一、二を争うのではないかと思います。
前回、「教会にはいろいろな人がいて、それでいて一つである」ということを書きましたが、この作品もそれを音で表しているような趣きがあります。
各声部が独立していながら、それが合わさって美しいハーモニーを生み出しているのです。
「キリストによって、体全体は、支えとなるすべての節々でつなぎ合わされ、一つに結び合わされて、それぞれの部分は分に応じて働いて、体を成長させ、愛の内に造り上げられてゆくのです。」(エフェソの信徒への手紙4章16節)